空想島(6畳半)

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魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語 鑑賞

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魔法少女まどか☆マギカとは

魔法少女まどか☆マギカといえば、従来のセーラームーンプリキュアのような魔法少女モノとは異なり、可愛らしい登場人物とは裏腹に、次々と魔法少女が死亡するという悲壮かつシリアスな展開で有名ですね。魔法少女という名前に騙されて、もし女児がこの作品を見たらトラウマになるのではないでしょうか。いわゆる大人向けであり、ジャンルの既成概念を打ち壊す、ダークファンタジー的アニメといえますね。

劇場版魔法少女まどか☆マギカは、テレビシリーズを再編集した前後編として公開された[前編]始まりの物語、[後編]永遠の物語の2作、完全新作の[新編]叛逆の物語の3作で構成されています。前後編が主人公である鹿目まどか視点で繰り広げられるのに対して、新編は暁美ほむらの物語です。

今回は叛逆の物語を鑑賞した時に感じた、私自身の率直な感想を紹介しようと思います。微妙なネタバレありますので、注意してください。

ソウルジェムがグリーフシードになる映画

まず、率直に、映画を観終わった瞬間の感想を。

自分のお腹を押したら、御菓子の魔女シャルロッテがデロリと出そうな異物感と、ダークマターのようにドス黒くて重い愛を、無理やり口の中に流し込まれたかのような疲労を感じました。

アニメシリーズの最後、テーマソングが流れた後の続きを示唆するような映像から考えて、主人公であるまどかが幸せになれる未来を探して、何度も世界を繰り返してきたほむらが、何らかの要因で絶望して魔女となるような展開を予想していたのですが、見事に裏切られましたね。

魔女になり、最終的に「円環の理」であるまどかに導かれたはずのさやかと、マミさんの頭から上を食いちぎったはずのシャルロッテと親友のマミ、病院に入院していた頃の体力のない眼鏡ほむら達が仲良く「ナイトメア」という怪物と闘う見ている側としては違和感だらけ世界。

「見る映画、間違えちゃったかな?」と思わせる展開から始まり、じわじわと明かされる偽りの世界が出来た理由、どこまでもゲスいインキュベーターの企み、ほむらを救うためにやってきたまどかに対してほむらが行った反逆と、盛りだくさんの怒涛の展開で、とても見ごたえがあって面白かったです。

けれど「え、本当にこれで終わり?」という感じで終わったので、何だか次の展開がありそうな気もしますね。

 

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語 (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
 

 

君の銀の庭(期間生産限定アニメ盤)

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PERSONA3 THE MOVIE -#1 Spring of Birth- 鑑賞

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1年前あたりから、ずっとこの日を待ちわびていました。

映像として動くものとして出てきたのは、アニメ化したペルソナ4が先でしたが、ついに来たか!大スクリーンの前で、動きまわるペルソナ3が見れるのか!と興奮した末に、勢い余って、2回ほど見に行きました。上記は、その時貰ったミニ色紙です。

ペルソナシリーズとは

ペルソナシリーズは、アトラスから発売されているロールプレイングゲームのことで、1番初めに発売された女神異聞録ペルソナが1996年発売だったことから考えても、1999年のペルソナ2罪、2000年発売のペルソナ2罰、2006年のペルソナ3、2007年のペルソナ3フェス、2009年のペルソナ3ポータブル、2008年のペルソナ4、2012年にはペルソナ4 ザ・ゴールデン等のゲームが発売され、来年には新作であるペルソナ5の発売決定している、躍進を続ける人気シリーズです。

ペルソナ3に心惹かれる理由

ペルソナ3ペルソナ4は、同一世界上の過去と現在という時間軸になっているのですが、物語の舞台がそれぞれ異なります。そして舞台が異なるということは、物語の土台である雰囲気がガラリと変わるということだと思います。

ペルソナ3の舞台は「都会」と「都会の学校」

偏見かもしれませんが、都会と聞くと人はたくさんいるにも関わらず、どこかよそよそしい感じがします。御近所同士ですれ違っても、目も合わせず、挨拶もしないイメージですね。

実際、無口でクール、喜怒哀楽が表情として滅多に現れないため、何を考えているのかわからない。何に対しても「どうでもいい」というほど、周りにも、自分にも興味の持てない少年が主人公であったり、物語のメインであるシャドウと呼ばれる化物を倒すために一緒に戦う仲間もビジネスライクでギクシャクした関係で、仲間意識皆無状態からすべてが始まります。

ペルソナ4の舞台は「田舎」と「田舎の学校」

都会に比べると、御近所同士の付き合いがあって、だからこそ噂もすぐに広まります。初めは都会から来た人間を物珍しがるけれども、それをすぐに受け入れる懐が温かいイメージがありました。陽気で社交性のあるムードメーカー、元気がありあまっているポジティブなクラスメイト等、仲間意識皆無状態から少しずつ繋がりを作って行く前作と比べると、初めから仲良しこよし状態なのですよね。

この部分が、きっと私の中で感情移入しやすいか否かの境界だったのだと思います。互いに何か秘密や過去を抱えていて、それを秘密にしている。近くにいるけれど遠くにいるように感じ、信用はしているけれども信頼はしていない。「シャドウと闘う特別な力がある」というだけの、ビジネスライクな関係。何か軋轢があった瞬間に空中分解しそうな脆さのある人々。

ずっとそばにあったモノと再会したかのような感覚。ふとした時に思う「この世界なんて消えてなくなってしまえばいいのに」という薄暗い気持ちをざわつかせる所が、きっとお気に入りなのだと思います。

「感情の変化」が見どころ

見どころは、やはり主人公の「感情の変化」にあると思います。

初めは、どこか綺麗な人形のようにしか見えません。透き通るような空色の瞳も、まるでガラス玉のようで、目の前の出来事を見ているようで見ていないような感じです。もしかすると危ない目に合うかもしれないことでも、何も考えず、求められるがままに「YES」を選択してしまうような。

それは時に仲間同士の軋轢にとなり、苛立ちのはけ口になるんですが、異形の化物との戦闘や人間関係を通して、少しずつ変化してくる様子が、とても繊細に描かれていると思います。4部作で、次回は来年の夏に公開予定です。どんな風に人間的に成長していくのかというのが、とても楽しみなところですね。

 

ペルソナ3ポータブル PSP the Best

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宮崎駿作 「風立ちぬ」 鑑賞

7月31日、7月、最後の日。

私にとっても、この日は今までの自分に別れを告げ、ひとつになる大切な日になるだろうと思ったので、見ておきたかった。

宮崎駿監督のジブリ最新作「風立ちぬ」は、神話と化したゼロ戦の誕生、「美しい飛行機を作る」という夢を持つ主人公二郎と結核を患う少女菜穂子との出会い別れ、世界的に著名な飛行機製作者であるカプローニおじさんとの時空を超えた出会いなど、様々な要素を取り入れた異色の作品です。

詳細は、是非映画を見て、感じてもらえればいいと思うので、割愛しますが。以下は私の感じたことをつらつらと書きつづろうかと思います。ネタバレになる可能性がありますので、ご注意ください。

作品全体を通して、私が強烈に感じたのは「夢」と「葛藤」でした。 主人公は飛行機の設計者になって美しい風のような飛行機を造りたいという夢を幼い頃に持ちます。そして夢を実現させるために、東京の大学で航空工学を学び、やがて大軍需産業のエリート技師となります。飛行機と言えども、当時は戦争をするための、爆撃するための戦闘機設計だったと思いますが、昼夜問わず飛行機の事を考え、設計に取り組む様子には、狂気にも似た何かを感じました。ただ、新しいことを吸収し、綺麗な物を綺麗と言える、集中するとつい周りが見えなくなる、そんな彼の実直な性格から、夢に向かってひたむきな姿勢を続けられる人という印象を受けました。

私にも、小さな子供の頃なりの夢がありました。けれど、少しずつその夢を育てていくように明かりを灯し続けられるということは、難しいことです。だからなのか、一番初めに感じたのは主人公に対する羨望でした。国が戦争で崩壊へ進む中で、自分の追い求める「夢」と「働くということ」、そして愛する女性の病である結核と「生きるということ」が密接に絡み合い、彼らは濃厚な時間を過ごしてきたのだと思いました。現代を生きる私達は、どれだけ濃厚な時間を過ごしているだろうか?と考えました。これは、今後の私の課題でもあります。

また作品内に、主人公が休暇として軽井沢の高原ホテルを訪れるというシーンがありました。始めは、特に説明もなかったし、なぜいきなり軽井沢?と思ったのですが、彼は自分の本当は実現したいと考えている夢と、仕事としてやらなければならない戦闘機作りという狭間で葛藤していたのではないかと思いました。

やりたいこととやらなくちゃいけないこと。これも今のわたしたちに、置き換えて考えさせられるというか。今まで努力して続けていたことはあるけれど、それらは全て耐えてきたというわけではなかったと思う。思い通りに行かない所もあったけれど、熱中できる部分があって、それが結果的にやりたいことに繋がっているようにも思う。私たちは常に葛藤と共にある。そんな風に感じました。

 

映画館は夏休みだからか、小さなこどもで溢れていました。おそらくはポケモンを見に来たのではないかと思います。見ている年齢層的には同年代から御老人くらいの年代まで様々。中にはジブリということで、見に来たのだろう中学生くらいの子どももいました。少し大人向けな内容だとは思いましたが、良い映画でした。もう一度、見たいような気がします。

風立ちぬビジュアルガイド (アニメ関係単行本)

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