空想島(6畳半)

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「劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~」を見て

月始めの1日といえば、ファーストデーだ。

【チラシ付き、映画パンフレット】劇場版 夏目友人帳 うつせみに結ぶ

 ファーストデーとかレディースデーとかに慣れてしまうと、通常の大人料金が高くて高くて。安く見られるのであればそれに越した事はないと思い立ち、「劇場版 夏目友人帳」の映画を見てきました。ということで、今回はそれを見て感じたことや思ったことを、映画のネタバレなしにさらっと語りたいと思います。こういうアニメの感想記事も久しぶりですね!

夏目友人帳とは

――幼い頃から、人とは違うモノを見た

 そんな語り文句から始まる「夏目友人帳」は、緑川ゆきの代表作である漫画だ。

夏目友人帳 23 (花とゆめCOMICS)

夏目友人帳 23 (花とゆめCOMICS)

 

 普通の人には見えない妖怪が見えてしまう夏目貴志(主人公)と祖母の遺品である妖怪の名前が書かれた「友人帳」、その友人帳に書かれた名前を妖怪たちに返す中で人と接し、その人が抱えた事情や想いを知っていく。出会いと別れ、人の感情の機微が優しく、そして切なく描いている作品だ。

 夏目の成長を喜ばしく思えるようになった

 実は長い間、夏目というキャラクターが苦手だった。
 
 理由は自分でよくわかっている。人の目を異様なまでに気にして、不審に思われないように学校という箱の中で振る舞い、自分の気持ちに蓋をする。まるで昔の自分を見ているようで、心がザワザワしてしかたなかったのだ。(※私は零感なので、見えません)

 けれど妖怪にまつわる事件を解決したり、首を突っ込んだり。友人帳を奪おうとする妖怪や、名を取り戻ろうと夏目の元を訪れる様々な妖怪たちの想いに触れ。祖母レイコと妖怪たちの短い夏の夜の夢のような思い出を追想しながら、少しずつ人として成長し。

 夏目の事情と秘密を知って協力を申し出てくれる理解者を得て、心から安心し、笑みを浮かべられるようになっていく様子を見ていると、もうそこにいるのは過去の惨めな自分ではなくなっていた。

 本当にその人を取り巻く環境と人との触れ合いで、全然異なってくるのだと思う。違うモノが見えることを認めてくれるのか、受け入れてくれるのか、面白がってくれるのか。認めるまではいかないまでも、それを否定しないのか。気味が悪いと遠ざけて、拒絶するのか。存在しないものとして蓋をするのか、考え方を強制するのか。

 小さな頃は環境が悪くて、そして小さな子どもには逃げ場がない。だから死なないようにどうにかそこに適応して、自分を押さえつけてごまかすことしかできなかったけれど。夏目にとっての良い変化を目の当たりにして、「ああ、いいな」って心から思えるようになりました。成長を見ていると応援したくなるっていうやつです。ママかよ。

人も妖怪も変わらない

 夏目友人帳に登場する妖怪たちは、根っからの、どうしようもなく、理解不能で対話不能。まるで無差別に呪いを振りまくような悪は登場しない気がします。こういう行動をするに至るに、彼なりの理由があって、そこには彼らなりの葛藤と意思と想いがある。そういう意味では人も妖怪も変わりはないのだ。

 妖がまるでそこに存在する人間と同じように見えてしまうが故の奇行が原因で、親戚中をたらいまわしにされて、心を閉ざして人との関わり方が不器用だった主人公が、時に妖を通じて多くの人と関わり、その人の想いを知り。妖怪たちと接する中で、妖怪たちのほんの一面かもしれないものを理解する。

 理解すればそれは怖いモノではなくなる。理解しようという気持ちがあるだけで、モノの見方が変わる。そうやって両方とも諦めることなく、彼成りに人の世と妖怪たちの暮らす世界をゆるやかに繋いでいる。

 たどたどしくも、自らの体験と経験を元に「妖怪=悪」ではないのだと。自分の言葉で宣言する姿は、とても輝いて見える。そこが夏目友人帳の魅力だと私は思っている。

本日のまとめ

 初代デジモンの進化シーンを見た瞬間に涙腺崩壊するくらい涙もろい私ですが、夏目友人帳は漫画を読んでいるだけでボロボロ泣けちゃいます。まぁ、私の涙腺がもろいだけかもしれませんが。

 人との付き合いがどちらかというと苦手で、他と違うものが見えることがバレないように。変な子どもと思われないようにと、必死で人間観察して身につけたであろう人を見る目。その小さな頃、身につけざるを得なかった人の心の動き、感情の機微を繊細に描いた大好きな作品です。映画もとても面白かったので、興味があったら見てみてください。アニメも良作が多いのでオススメです!

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