空想島(6畳半)

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なんだか一日中眠い・・・そんな貴方の睡眠を 史上最高にする『スタンフォード式 最高の睡眠』

仕事と眠気との闘いには、終わりがないように思う。

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 「月曜日が来る」というのが憂鬱で日曜の夜に夜遅くまで起きていたり。「このままじゃいかん」といつもより早く寝たはずなのに頭がぼーっとしたり。通勤途中につり革に掴まりながら仮眠を取り、それでもダメな時は缶コーヒーをぐいっと。なんていうか一時しのぎにしかならない、根本的な解決にはならない対策だ。

 

「眠くてしかたがない」というのは自分が思う以上にパフォーマンスが下がる。まず仕事に集中できない。注意深く、行わなくてはならない細かい作業では致命的だ。ついでに頭も回らないので、普段なら問題ないはずの仕事にミスが目立つようになる。

 

次にイライラしやすくなる。もともと自分が悪いだけなのだが、些細なことでカチンときやすくなる気がする。私は普段どちらかというと話しかけずらい静かな会社員していて、そのイライラを表に出したことはないのだけど。もしかすると漂う空気はイライラしているのかもしれない。

 

最後になぜか知らないが「寝てはいけない」と思えば思うほど、瞼が落ちやすくなる。意識で眠気を止めようとしても、体は睡眠を欲しているのだからなおさらだ。そして気が付くと、目をつぶっている時間が長くなってしまう。ということは、周りに見られている時間も長くなるということだ。気が付かない所で「あの人、仕事中も寝てばかりいる」評価になりかねない。百害あって一利なし。

 

 なんとかして、百害あって一利なしな「眠気」を味方につけることはできないか。そのための、誰にでもできる法則が『スタンフォード式 最高の睡眠』に書かれている。

 

『スタンフォード式 最高の睡眠』とは

 「世界一の睡眠研究所」と称されるスタンフォード大学睡眠研究所で30年以上睡眠を研究することで得られた知見と科学的な根拠に基づいて「最高の睡眠を確保し、日中のパフォーマンスを最大化する」方法を紹介している本だ。

 

味方にすれば最強だが、敵に回すと恐ろしい災厄となりうる『睡眠』について、解説すると共に実際にスタンフォード大学で行った睡眠実験や今日から始められる最高の睡眠メソッドをぎゅっと凝縮した本になっている。

 

体幹リセットダイエットのように、基本的はコツコツ続けて習慣づけることが最終的には大切になってくるのだけれど。本を読んでみると睡眠はただ単に脳と体に休息を与えるだけではなく、体全体に影響を及ぼすことに驚いた。今からでも遅くない、睡眠を味方につける生活を始めようと思えた本です。

 

最高の睡眠とは?

 「睡眠」は量より質であることは、私でもなんとなくわかる。よく休日に寝だめするということがあるが、お金を貯めるのと違って平日に少なかった睡眠を休日にいつもより長く寝ることで補うことはできない。それに寝だめしてスッキリすることってほぼない。本書のプロローグに書かれている言葉で「なるほどな」と納得できると思う。

 

睡眠と覚醒(パフォーマンス)はセットになっている。脳・精神・体のコンディションを整える質の良い睡眠をとれば、仕事でも勉強でもパフォーマンスの高い1日が遅れるし、単に量を求めてだらだら眠ったら、逆に調子が崩れてしまう。 (スタンフォード式 最高の睡眠 p.8)


 当たり前といったらその一言で終わってしまうけど、「寝だめ」なんていう言葉が生まれるように、毎日、息をするように寝て起きてを繰り返している私たちは、それをあまり意識していないのだと思う。つまり、本書における最高の睡眠とは、「脳・体・精神」を最高のコンディションに整える「究極的に質が高まった睡眠」のことなのだ。

 

御託はいい、さっさと先に結論を言えという方のためではないと思うが、プロローグの時点で「睡眠の法則」が紹介されている。それが「90分の黄金法則」だ。これには私もびっくりした。たとえば私の平均睡眠時間は約6時間程度なのだが、6時間全ての質が良くなくてはならないのではなくて、睡眠の質は眠り始めの90分で決まる。というものだ。

 

「体温」と「脳」に眠りスイッチがある

 眠り始めの90分と言えども、布団に入って10秒も経たずのび太くんのように熟睡モードに入れるだろうか。布団の中が冷たくてきゅっとまるまったり、寝返りをゴロンゴロンしたり、布団の中でPC見ちゃったりなんかして。中々眠れないという人が多いのではないだろうか。第2~3章では、質の良い眠りを得るためにはどうすればいいのかを科学的根拠とデータによって紐解いている。さらっと説明すると以下のようなことらしい。

 

まず「質の良い眠りであれば体温は下がる」ものなのだそうだ。

 

基本的な知識として、人間の体温、つまりは体の内部の体温(深部体温)は睡眠時より覚醒時の方が高い。まぁ日中に活動しているのだから当たり前だ。逆に、手足の温度(皮膚温度)は覚醒中は低くて夜間に高い傾向がある。

 

そして体温は「筋肉や内臓による熱再生」と「手足からの熱放散」によって調節される。入眠時に意図的に皮膚温度を上げ「手足からの熱放散」させる。そうすることで深部体温を下げることができる。この時、深部体温と皮膚体温の差を縮めることで入眠しやすくなるらしい。

 

深部体温」や「皮膚体温」用語が難しくて何言っているのかさっぱりわからん。用語と知識はわかったから具体的に何をすればいいんだ。と、この本を読んでいるだけで眠気が襲ってきた私ですが、そんな私でもわかりやすいメソッドが以下の4つだ。

体温スイッチ①:就寝90分前の入浴

つまりは―――「風呂に入れよ」ということだ。

 

 風呂に入ると「深部体温」が一時的に上がる。入浴による皮膚温度の変化はせいぜい0.8~1.2℃程度というデータがあるらしいのだが、重要なのは深部体温には「上がった分だけ大きく下がろうとする」という性質があるらしい。

 

お判りいただけるだろうか。つまりお風呂に入って一時的に深部体温を上げれば、具体的には寝る90分前くらいに入浴を済ませておけば、布団に入る頃には深部体温がより大きく下がっていき、スムーズに入眠できる・・・ということだ。

体温スイッチ②:足湯で足の血行をよくする

 忙しくてゆっくりお風呂に入る暇などない、もしくはめんどくさいという人には即効スイッチ「足湯」がおススメされている。入浴が主に体全体の深部体温をあげるための方法だとするならば、足湯は足の血行を良くすることで手足からの熱放散を促すアプローチ。そのままだ。

 

私も何度か風呂入るのめんどくさくて風呂場の洗面器にお湯を入れて一人ぽつんと足湯してたことがあるんだけど。シャワーとかと違って音がない静かな足湯は少しだ寂しくて、けれど一人で考え事をする上ではうってつけだった。足も暖かくなるし。温泉以外で足湯ってなんだか新鮮だった。

体温スイッチ③:室温コンディショニング

寝るための部屋を、主に室温を整えるという、たったそれだけ。湿気とムシムシする部屋では寝ても、途中で水分不足になって夜中に飛び起きたり、寝ながら「暑い!」と布団を蹴っ飛ばしたり。

 

これから寒くなってくれば布団のシーツをもこもこ仕様にしたり、寝る前に部屋に暖房を入れておいて温かくして寝たり、湯たんぽを入れて置いたり、人それぞれ工夫すると良いだろう。ぐっすり寝るための部屋作りも大切だということだ。

脳のスイッチ①:「モノトナス」の法則

 基本的に寝る前は何も考えないこと

 

 とはいえそんなことは難しすぎる。ならばどうすればいいかというのも具体例でわかりやすく説明してくれる。思わず「なるほどなー」と思うようなことだ。

ハイウェーで運転中に眠くなる原因のひとつは、風景が変わらないことだ。単調な状況だと頭を使わないから、脳は考えることをやめ、退屈して眠くなる。モノトナス(単調な状態)にすることは、眠るための脳のスイッチである。(スタンフォード式 最高の睡眠 p.148)

 つまりは寝る前のスマホアプリ、PC画面はあまり見ないほうがいいということだ。なんていうか目と脳が覚醒してしまうからね。よく母から「本を読んでいたらすぐに眠たくなって寝てしまう」という話を聞くのだが。きっと本を読みながらモノトナス状態に陥っているのだろう。もしくはそういう本をわざと選ぶとよいのかもしれない。

 

本書を寝る前に読むのもおススメです、これ読んでるだけで寝れます。

 

本日のまとめ

睡眠は人生において「必要不可欠なもの」のひとつではある。
しかし、もっと大事なのは、睡眠は「ギフト」であるということだ。
(ウィリアム・C・デメント スタンフォード大学睡眠研究所初代所長) 

 起きているはずなのに、眠ったはずなのにずっと眠いのは、多分睡眠の質が悪いからなんだろうなあと思っていたけれど、そもそもな話。「睡眠と覚醒は表裏一体」ということを忘れていた。

 

 朝起きてから寝るまでの行動習慣が最高の睡眠を作り出し、最高の睡眠が翌日の最後のパフォーマンスを作り出す。無限機関。最高の味方の誕生である。書かれていることは誰でもできる簡単なことが多い。けれど最高の睡眠を実感するための睡眠サイクルの構築が少し難しいかもしれない。

 

私も本書を買ってから試しに1週間やってみたことがある。その時はもう朝から違った。朝、目覚ましが鳴った瞬間にスッキリと目が覚めるのだ。会社でめんどくさい退屈な仕事をしている時の眠気はない。退屈な会議でもおめめぱっちり。体調も良い気すらする。すごい。睡眠を味方につけるとすごいぞ!

 

 勿論、睡眠サイクルを習慣づけるまでコツコツと続けなければならないし。サイクルを構築したあとパタリと辞めると途端に効果が薄くなる。だから本を読んでやるぞ!と思っても続けられるかは貴方次第。

 

けれども睡眠研究について知らないこともたくさんわかるし、普段の生活で使えるちょっとしたメソッドはきっと参考になるはず。興味があれば、書店にて手を取ってみてはいかがでしょうか。おススメの本です。

スタンフォード式 最高の睡眠

スタンフォード式 最高の睡眠