空想島(6畳半)

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1泊では勿体無い、乳頭温泉郷「鶴の湯温泉」に行ってきた

働き始めて半年経たなければ有給休暇が発生しないのはわかっているが、予約できる時に予約しなければ入浴することの難しい温泉があることもまた事実。もう有給休暇なんぞ待っていられない、今行くしかないんだ。何の変哲もない土日でも行ける、入ってやる。

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ということを3ヶ月前から考えていたので、ついに念願の人気温泉地、秋田の秘湯。乳頭温泉郷 鶴の湯温泉まで1人旅してきたので、宿泊編、湯めぐり編、散歩編に分けてガッツリ紹介したいと思います。

秋田の秘湯 乳頭温泉郷 鶴の湯温泉とは

乳頭温泉郷は秋田県仙北市にある温泉郷で、合計で8つの宿があり、しかも異なる源泉を持つ温泉宿で構成されています。その乳頭温泉郷の中でも最も古い歴史を持ち、秋田藩主の湯治場だった由緒ある温泉が鶴の湯温泉です。またスマホの電波が1本たりとも立たない圏外で、今でもいっさい電気が来ていないので、タービンを回して自家発電をしているとお聞きしました。

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金曜の夜、会社から帰る途中に夜行バスに乗りこんで、鶴の湯に辿り着いたのが午後1時。チェックインが午後3時なのでお部屋に入れるはずもなく、鶴の湯を散策しつつパシャリ。橋を渡った先にあるのが、黒湯、白湯、中の湯と呼ばれる温泉棟です。ちなみに写真一番奥の建物が内湯で、ここには体や髪を洗うためのカランがあります。

日帰り温泉を受け入れているのは午前10時~午後3時まで。それまでは観光スポットと化しているためか人がどっさり訪れるので、ゆっくり温泉につかりたい人は日帰り終了後に入るのがいいかもしれない。湯めぐり編で改めて紹介するけれど、乳頭温泉郷には湯巡り帖と呼ばれるものがあるので、チェックインまでの時間は湯巡りがオススメ。

ひとっこひとりいない、夜の鶴の湯を楽しもう

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そしてこちらが夜8時を過ぎた頃の鶴の湯です。フラッシュをたいているので部屋1つ1つに灯る明かりがとても明るく写っていますが、本物はもうちょっと暗かった。昼の鶴の湯もよかったけれど、宿泊客しか見ることのできない鶴の湯というのも格別です。これは宿泊したからこそ味わえる特別です。

 

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私が宿泊したのは本陣ではなく、1人でも泊まることができる二号館、三号館側。

 

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外見から想像するほど二号館、三号館は古くなく、床や階段がピカピカに磨かれていて、共同で使うトイレもウォッシュトイレで綺麗です。二号館、三号館は1人でも宿泊OKで、しかも1泊8,790円というリーズナブルさ加減。温泉を楽しめればそれでいい私のような人はこちらで十分かと。

部屋の中には勿論テレビはなく、スマホも使えないデジタルデトックスに最適な環境が整っているので、できれば文庫本など読みたい本を持っていくと良いと思います。普段、東京にいる時はゆっくり集中して好きなだけ読書する時間がないので、至福の時間でした。

宿泊者限定の内湯にはカランがあります

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館外の露天風呂に行く途中にも男女別の内湯、宿泊者限定の館内内湯もあり、こちらは大人3~4人入ることができるかどうかというこじんまりとしています。

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露天風呂にカランはありませんが、館内の宿泊者専用の内湯にはカランが設置されているのでシャワーを浴びたい、体を洗いたいという人は内湯に入るのが良いと思います。

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とはいえシャワーの数は少なめなので、湯巡りをしている最中に違う温泉宿で髪の毛と体を先に洗ってしまうというのも1つの手かと思います。宿泊した日は比較的すいていたので内湯のカランを使いましたが、混雑していると大変かも。

 コバルトブルーの乳白色の露天風呂と満点の星空

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鶴の湯には4種類の泉質の異なる源泉があり、内湯と露天を含めると7種類以上の湯船があります。露天風呂はそのうち3つ。鶴の湯の中でもっとも温まると教えられた黒湯からつながる女性専用露天風呂、鶴の湯で最も有名な混浴露天風呂、混浴露天風呂の手前にある女性専用露天風呂です。

こちらが(写真自体は翌日朝4時ごろの写真ですが)夜8時半を過ぎて訪れたのは黒湯からつながる女性専用風呂です。まるでプールのような広さで驚きました。白濁してまったく見えない足元にはこぶし半分くらいの大きさの石が敷き詰められていて、時折石の隙間からポコリポコリと温泉が湧出しています。露天風呂が広いからなのか温度はぬるめでじっくりゆっくり温まるには最高の場所です。

露天風呂に浸かりながら空を見上げると、東京ではまったくもってお目にかかることのない満天の星空が広がっていて感動ものでした。周りにほとんど灯りがなく、夜空が雲ひとつなく晴れていたからこその景色でしたが湯船の端に頭を預け、肩まで湯に浸かった状態で見上げる星空は格別でした。流れ星も見ましたし、ゆっくり動いている衛星(?)も見えました。

この景色は是非、宿泊して体感して欲しいと思います。

 人生初、混浴露天風呂デビューのススメ

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さて、鶴の湯を代表する最も有名な温泉といえば、混浴露天風呂です。温泉地によっては無色透明の湯、女性のタオル巻き禁止などの様々な難関があるため、今まで混浴露天風呂は避けて通ってきましたが、せっかく鶴の湯まで来たのだから入らねば勿体無い。ということで、ついに人生初の混浴露天風呂に挑戦してきました。

混浴露天風呂のタオル巻きは禁止ですが、宿泊者は温泉棟に24時間いつでも入り放題であること、男女別の脱衣所があること。女風呂から混浴露天に続くアプローチとしては木の扉を開けると0メートルで温泉ですし、温泉はコバルトブルーの乳白色なので入ってしまえば見えることはありません。混浴露天風呂とはいえ、それほど難易度は高くないはず。

ただそれでも男性ばかりの混浴に1人で突入するのは心配だったので、宿泊者が完全に寝静まった時間帯を狙って入浴しました。時間帯的には夜3時半。思ったとおり誰もいなかったので、30分ほど混浴露天風呂を1人で満喫しました。露天風呂の中では一番ぬるくて気持ちが良かった。写真奥ではぷくぷくと温泉が湧出していて、そちらはちょっと熱かった。

早朝、聞こえるのは川の流れる音だけ

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朝5時頃の鶴の湯はこんな感じ。空が明るくなり、森の緑と本陣と温泉棟の黒さが絵になります。聞こえるのは先達川の流れる音だけです。

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この時間になると他の人の姿が見えてきます。皆さんこれから朝風呂にしゃれ込むのでしょうか。私は一足先に温泉に浸かったので、このあと部屋に戻って朝食の時間まで寝てました。本当に1泊だけというのは勿体無い温泉です。

 本日のまとめ

川のせせらぎを聞きながらふとんに入って読書をしたり、24時間好きな時間に温泉に入り、日帰り入浴では決して見ることのできない鶴の湯の特別な姿を楽しんだり、本陣で頂く夕食と朝食時に1人客に話しかけておしゃべりをしたり、温泉三昧するのに最高の温泉宿だった。

ただ翌日の朝8時くらいになると、日帰り入浴時間は朝10時からにも関わらず、大型バスに乗った観光客や日帰り温泉を求めて車でやってきた人、駒ケ岳や乳頭山に登山・ハイキングに行く人々が怒涛のように現れて騒々しくなったので、ゆっくり過ごしたい方は午前中は鶴の湯以外の湯巡りやハイキングをして、日帰り客がいなくなった午後から鶴の湯の温泉に入るというのがオススメです。

1人でリーズナブルに宿泊することが出来るので連泊している人も多く、人気日本一に何度も輝いているだけあって中々宿泊することができないのですが、1泊だけというのは勿体無い、もう3度くらい行って四季折々の鶴の湯を制覇したいと思う秘湯でした。

今回は湯巡りをしたかったので金曜の夜に夜行バスに乗っていきましたが、新幹線だと東京から田沢湖駅まで3時間くらいです。そこからバスを乗り継ぐのですが、それほど遠いわけではないと思います。興味のある方は日帰りではなく、是非とも宿泊してみて欲しいです。

※なお温泉写真は許可を取った上で撮影しています。