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空想島(6畳半)

空想をすることが、生きる糧となり地となり肉となり

小さな頃の大好きな絵本、まだ残っていますか?

日記 雑談

わたしの家には、屋根裏部屋がある。

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(illustration by ふわふわ。り

何もモノが入っていなければ、おとな1人分の布団をひけるくらいの広さがあるのだが。まるで屈伸しているかのように折りたたまれた梯子を下ろして登ってみると、今はもう使われなくなったキャンプ用品、ダイビング用品、古びたコンロ、ひな祭りの時に使う小道具、クリスマスツリー、冬場に活躍した雪かき用具が所狭しと詰め込まれている。

わたしたちが成長していく過程で役目を果たし、表舞台から人知れず姿を消し、記憶の奥底へと追いやられた思い出たちがダンボールの中に詰め込まれて、屋根裏部屋に積み上げられていた。だからなのか、別に高い場所が苦手というわけではないのだけれど、屋根裏部屋の小さなスペースに腰掛けて屋根裏部屋を見回すと、なんだか言いようのない息苦しさに晒されるのだ。

ということで本日は、私が小さな頃(多分5歳くらいの頃)から大好きな絵本のうち、3作品について簡単ではありますが、振り返ってみたいと思います。母から絵本は取ってあるという話は聞いているのですが、今手元に本がないので当時の記憶を追う感じになりますが、ご了承ください。

「きょだいな きょだいな」

私の絵本の思い出は、その殆どが寝る前に母が読み聞かせてくれた「こどものとも」の本だ。色んな絵があって、色んなお話があって、毎回新しい本が来るのを楽しみにしていた。

きょだいな きょだいな (こどものとも傑作集)

「きょだいな きょだいな」は自分よりも数百倍以上といえるほど大きなモノたち、例えばピアノ、石鹸、泡だて器、トイレットペーパーみたいなもの(それはもしかすると未知のモノだったのだと思います)に対して、自分たちの好きなようにめいいっぱい楽しんじゃおう!という作品だ。

突然現れた子どもたちがバーッと未知のものに群がって好きなように遊び、笑い、走り回り、時にスッポンポンになりながら嵐のように去っていく。私もその中に混ざって遊びたいと思ったことを覚えている。

子どもの頃って目の前の全てを新しい遊びに変えてしまう力を持っていた。今もなくなっていないと信じたいけど、きっと子どもにとって遊べるモノになってしまえば、それはきっと怖くないんだろうな。

 

「おなべおなべにえたかな?」

おばあちゃんの家に遊びに行ったきつねのきっこ、いたちのちい、にいの3人が、急用で出かけてしまうおばあちゃんの代わりに大きなお鍋で煮ているスープの番をするお話。

おなべおなべ にえたかな? (こどものとも傑作集)

「おなべおなべ煮えたかな?」と聞き、お鍋が「煮えたかどうだか食べてみよ」と答えるのですが、きつねのきっことお鍋のリズムのいいやり取りは、ずっと忘れることのない記憶に残るフレーズです。

おばあちゃんが作っていたスープがすっごく美味しすぎて、最初はちょっとだけちょっとだけと味見をするためだったのに、お鍋が空になるまでペロリと完食してしまった時の焦りようといったら、本を読んでいる私自身がどうしようどうしようと焦ってしまうくらいだった。

けれどそこから春の香りと春の味が詰まった新しいスープを作る怒涛の展開があって、思わずごくりとつばを飲み込みたくなる、そんな美味しそうな雰囲気がたまらない作品です。ようはそのスープを一口でいいから食べたいと思ったっていうね。それだけなんだけど。

 

「おっきょちゃんとかっぱ」

夏に読みたくなるような不思議な世界に迷い込む怪談モノ。

おっきょちゃんとかっぱ (こどものとも傑作集)

水辺でひとりで遊んでいたおっきょちゃんが、突然現れた河童のガータロに誘われて、水の中にある河童の国でやっているお祭りに遊びに行く話なんだけど。

現世ではない世界の食べ物を食べると自分がどこの誰であるかを忘れてしまうといったちょっと薄ら寒い部分も含まれていて、おっきょちゃんはまったく警戒することなく河童に薦められるままおもちを食べて、お母さんのことも、お父さんのことも、水の外のことも忘れてしまう。

けれどわずかに残っていた記憶から自分や家族のことを思い出して、帰りたいと泣くおっきょちゃんの姿と、おっきょちゃんを助けてあげたいけれど、どこかにいってしまうのが嫌なガータロのやり取りが好き。まるごとスイカを貪り食って、その中におっきょちゃんが入って現世に帰る所もお気に入り。

本当だったら一度常世の住人となった人間は元の世界に帰れないかもだけれど、河童たちがおっきょちゃんを手助けしたり、かけがえのない友人との別れがあったり。絵本なのにぐっと引き込まれるストーリーで、今でも大好きな作品。

 

本日のまとめ

本当にふと絵本のことを思い出した。幼稚園~中学生にかけては親の仕事の関係で色んな場所に行く転勤族だったのだけれど、十数年同じ場所に住み、わたしたちの成長を見守ってきてくれた家の中は、それはもうたくさんの思い出が詰まっていて。溢れそうになるそれらを、時にはそれを整理して捨てたりしなくてはいけないと思うのだけれど。

母自身が小さな頃に大切にしていた本を親に処分されて、とても悲しかったという経験をしていて、自分の子どもの本は何が何でも絶対とっておくと決めていたらしい。その話を聞いた時、とても嬉しかったことを覚えている。

でも屋根裏部屋の中には、私たちが成長していく過程で生まれたたくさんの思い出が詰まっていて、すぐに絵本を見つけることは難しそうだった。多分それが少し悲しくて、とても懐かしい気分になった。