空想島(6畳半)

空想をすることが、生きる糧となり地となり肉となり

神山町の農林暮らし体験、田舎のヒトはすごいヒトばかり!

神山塾にせっかく参加したのだからどんなことをして、どんなことを思ったのか。忘れないうちに書き残しておこう第二段です。どこまで続くのかはわかりませんが。

さて神山塾は簡単に説明すると、学生や社会人を対象に地域の担い手育成や、新しい働き方と暮らし方のきっかけを作ることを目的とした短期滞在型研修プログラムです。なので研修を受ける上で常に忘れないで欲しいことは何か、神山プロジェクトとは何か、今までどういう取り組みをしてきたのかという歴史的背景を学ぶ座学的なものと、神山の主な産業である農林業、道路清掃活動、地域交流を体験するフィールドワークの2つで構成されています。

今回はその中のフィールドワーク、特に農林暮らし体験について、実際に取り組んだことを紹介しつつ、どんなことを感じたのか簡単にまとめておきたいと思います。

生活には欠かせない蒔ストーブ&蒔風呂

実は私は蒔ストーブというものを今まで見たことがありませんでした。そりゃ、映画とかテレビの中にある映像としてのものはありますけれど、実物をその目で見て蒔を突っ込んで暖を取るなんて始めての体験でした。蒔で炊くお風呂なんてとなりのトトロの世界の話です。

f:id:rntriple6:20150129142122j:plain

けれどそうですね。宿泊した神山スキーランドホテルのエントランスにも、神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックスにも蒔ストーブがありましたし、農林暮らし体験の指導をしてくださった方のお宅に蒔風呂があるそうで、中山間地域や山里ではそんなに珍しいことではないのかもしれません。蒔はきっと山里での生活には欠かせないものなのでしょう。

梅の剪定、梅が咲き誇る姿を想像することが大切です

初めは男女2つのグループに分かれて、女子は梅が咲き誇る時に梅の形が綺麗になるようにする梅剪定作業をして。男子は蒔割りをするために必要な木を伐採しに出かけたんですけれど。1~2時間ほどパチンパチンと梅の枝を剪定しながら、時折人生相談してました。

f:id:rntriple6:20150129142256j:plain

私の家にも梅の木はあるのですけれど、空へ空へと天高く伸びていく枝に手が届かなくて、いつもある時期になったら専門業者におまかせという感じで。自分で梅の剪定をするなんて一度も考えたことは無かったし、やり方も知らなかった。

だから剪定鋏を手にして梅の枝の切り方講座を受けて望んだものの、どこを切っていいのかわからなくて、中々手が付けられませんでした。一度切ってしまえば、パソコンのように一手前に戻ることはできないわけで、必要な枝を切ってしまったらどうしようという不安が先立ってしまったわけです。

でもマンツーマンで例えば枝と枝が交差してぶつかっているところだったり、将来枝が伸びてくるとぶつかってしまうことが予想される枝、下に伸びている枝など、切ってもいい枝を教わりながら。咲き誇った姿を想像しながら、どういう風に切ると遠くから見た時に見栄えがよいかをなんとなく想像しながら切ってみることでなんとなくコツをつかめたかなと思います。

梅の剪定、奥が深い、侮りがたし。

体を動かした後の食事は格別だ

農林暮らし体験の指導してくださった御夫妻のご好意で、パンケーキとスコーンの間のような素朴な甘みが癖になるおやつを頂きました。私は梅の剪定しただけで体力をそんなに使っていないはずなのですが、パクパクと3つも食べてしまいました。体を動かした後の食事は格別です。

f:id:rntriple6:20150129143830j:plain

おやつタイムをはさんで、男子が熱中するように取り組む蒔割りに参加。当日の朝から蒔割りをすることがわかっていたので宿泊している宿のお父さんに頼んで、予習として蒔割りのコツを教わってきたのですがこれが中々難しい。

せっかくだから蒔割りのコツをつかみたい

まず斧がめちゃくちゃ重い。両手でしっかり持たなければ持ち上げるのが大変でした。持ち上げられるようになったら、丸太と自分との間隔をつかみつつ、両足を左右に広げて体勢を整え、斧の刃が丸太にあたるかどうかを確認するための位置確認をします。あとは頭上に振り上げた斧をまっすぐ真下に振り下ろす(土台の大きな丸太の上に斧を止めるようなイメージをする)のですけれど。刃先がちょっと刺さるだけで、パカーンと真っ二つになんかならんのですよ。

f:id:rntriple6:20150129144650j:plain

男子はね、なんか慣れているのか。力の使い方がうまいのか、もともと力があるのか。爽快感漂わせてせっせと丸太を真っ二つにしていくんですけれど、どうにかならないものか。別に競い合うわけでも負けん気が強いわけではないのけれど、やり始めたら上手になりたい。上手くいかなくてもせっかくだから、この機会に何かコツくらいはつかみたいと思っていたら。

「参考になるかわからないけれど、見ててね」と横で見ていたお父さんが、圧倒的な存在感を漂わせながら、助走を付けるように離れ、斧を振りかぶって一撃で蒔を真っ二つにした。次に神山塾修了生の先輩によるお手本も見たが、余計な力が籠もっていない自然な力の流れ、すごくカッコよかった(下記写真は先輩の写真ですが、個人を特定しないためにモザイク処理しています)。思わず拍手。

f:id:rntriple6:20150129144228j:plain

そこで教わったのは力をこめて斧を振るうのではなくて、斧の重力で割ること。そりゃ斧を落としたりして怪我をしないように、しっかりと持つことは大切だけれど。斧が重いからって両手で端と真ん中を持つと、重力による力があまり伝わらないから、出来るだけ端を握って狙いを定めて振り下ろすといいとのこと。言うのは簡単ですけど、端を持つと振り上げるのがさらに大変になります。

けれどこの持ち方をすることで、今まで10回やっても割ることが出来なかった蒔を2~3回で真っ二つにすることが出来ました。真っ二つに出来た時は嬉しくて飛び上がって喜んでしまったほどです。これは面白い、ハマリます。

本日のまとめ

今回は農林暮らしとはどのようなものなのか、ほんの入り口部分を体験させてもらった。指導してくださったは山に囲まれた土地で古民家をリノベーションし、庭にあるウッドテラスなど身の回りのものを手作りしている、まさに自然と共に生きるを体言しているようだ。木のぬくもり温かみを感じる室内はとても綺麗で惚れ惚れとしてしまう、素敵な家でした。

私にとって梅の剪定も蒔割りも初めの体験。1日だけの体験入学みたいなもんでつらさや山里暮らしだからこその苦労がよくわからないから、面白いとか楽しいとか思えるのかなぁなんて思うのだけれど。なんでも手に入る時代だからこそ、お金でモノを買って手に入れるのではなく、自らの手で何かを作ることが新鮮に思えるのかも。そういう暮らしってなんだかいいよね。

ちなみに指導してくださったお父さんが普段蒔割りする時は、5~7本分くらいを1人で割るらしい。私のような蒔割りの入り口しか知らないやつから見ると、蒔が少なくなってくるたびにやるのは大変な肉体労働だと思うのだけれど、きっとそれが当たり前なのでしょうね。生きる力に満ち溢れていて田舎のお父さん・お母さんはすごいなぁと思いました。せっかく蒔割りのコツをつかんだのだから、何かに生かせないかなぁと思う今日この頃。