空想島(6畳半)

空想をすることが、生きる糧となり地となり肉となり

本質を見失っている気がするビジネスマナー研修

社会人の一歩を踏み出した人の初めの1週間が終わりましたね。

入社式を終え、給料振り込み用の口座開設をしたり、年金制度の説明を受けたり、お偉い取締役の話を眠気に耐えながら聞いたり、おそらくランチの時間に会社付近をうろついている、保険の営業マンを躱したりしていると思います。もう記憶が薄れてきていますが、去年の私はそんな感じでした。

掃除で、新人研修資料が発掘された

最近、自分の部屋を掃除したのですが、新卒で入社した、とあるIT企業で使っていた新人研修資料が発掘されました。

この頃は本当に何もいいことがなかったので、捨ててしまおうかと思ったのですが、電話対応やお辞儀の仕方、エレベータの乗り方と、お客様の対応、お茶の入れ方など覚えておいて損ではないことが書かれていたので、捨てずにとっておくことにしました。

懐かしい新人研修資料をパラパラとめくっていると、新人研修時代の印象深い出来事を思い出したので、今日はビジネスマナー研修について少し振り返りたいと思います。

会社に対して抱いた第一印象が真逆だった

新人研修で一番初めにやるのは、おそらくビジネスマナーだと思います。私の会社では、ビジネスマナーの研修を始める前に「会社を訪れた際に感じた第一印象を書きなさい」というアンケートがありました。1~2分程度でそのアンケートの答えを記入して、数人が当てられて内容を皆で共有します。

あまりハッキリ覚えていないのですが、大体「学生である私にもハキハキと挨拶をしてくださり、誠実そうな会社だと思いました」的なことを言っていたように思います。教育担当もその解答に満足そうにうなづき、挨拶の大切さを訴えていました。

しかし、私はその時点で話をあまり聞いていませんでした。なぜなら、「私の第一印象と全然違うんだけど、どういうことなの?皆が空気を読んで、新人担当が喜びそうな答えを演出したの?これが面接の時に威力を発揮するコミュニケーション能力というものなのか?それともエイプリルフール?それとも本心?」という感じで軽く混乱状態でした。

この時の気持ちを一言で表現するならば、エ?(゚д゚ )

・・・はい、それでは私の解答を見てみましょう。「挨拶しても無視して素通り、目も合わせない、陰険な会社」という風なことを書きました。 正直、私が解答を発表する1人として選ばれなくて、本当に良かったと思いました。会社に喧嘩売っています。こういうものは正直に書けばいいってものじゃないんだなということを、この時点で学びました。

まるで洗脳のような、お辞儀の練習

次に思い出すのは、お辞儀の練習です。

お辞儀には「目礼」「会釈」「敬礼」「最敬礼」の4種類があります。お辞儀の仕方を簡単に説明すると、「目礼」は相手と視線を合わせて、軽くお辞儀をすること。「会釈」は上体を15度傾けるお辞儀、「敬礼」は上体を30度傾けるお辞儀、「最敬礼」は上体を45度傾けるお辞儀です。これら4種類を言葉や状況によって使い分けます。

目安として会釈15度=相手のへそあたりを見る、敬礼30度は相手の膝を見る、最敬礼45度は自分のつま先を見ると良いという講義を聴き、実際に立って練習しました。会議室で1日中、お辞儀の練習。・・・1日中ですよ?

2人1組になり「おはようございます!!」「いってらっしゃいませ!!」と叫びながら、滑舌よく、ほかの階にいる社員に聞かせるがごとく、元気よく叫びながら、ひたすらお辞儀。さらに新人社員1対1で行われるお辞儀の美しさを競う勝ち抜きバトルもやりました。

お辞儀とは、本来「相手を敬う心」や「大切に思う心」を伝えるためのものであるはず。お辞儀の角度や動作を体にたたき込むため&ゲーム要素を加えて飽きさせないためとはいえ、1日中声を張り上げて、他人と声の大きさ、お辞儀の角度を争って、その心が身につくかどうかは疑問です。

相手が挨拶してくれなくても、関係ない

とはいえ、挨拶はやはり大切です。会社の第一印象が最悪でも、新人研修の挨拶練習が1日中あったとしても、挨拶をないがしろにしていいというわけではありません。

こちらが挨拶をして、相手が反応してくれなかったとしても、新人がこんなにキチンと挨拶してくれるんだがら、僕らも負けていられないなと先輩にを入れるつもりで、率先してやればいいと思います。相手を敬う心を伝えるお辞儀や挨拶ですが、自分自身の気持ちも引き締まりますし、やる気も出てくる気がします。いいことずくめです。

あの新人研修を改めて思い出してみると、あれがいわゆる体育会系体質を持っている企業だったのかなと思ったりするのですが、会社に限らず一日は挨拶で始まり、挨拶で終わります。本質を忘れずに、今後も使っていきたいと思います。