空想島(6畳半)

空想をすることが、生きる糧となり地となり肉となり

会社を辞めた人を例に挙げて、笑わないでほしい

最近、こんな夢を見た。

私を含め、8人ほどの黒いスーツを着た若者が、白を基調とした部屋の中で、背筋を伸ばして座っている。私の席は一番後ろで、先頭に1人の男性が立っている。

ここはどこだろうと思いつつ目を向けると、そこには去年、退職したIT企業の新人研修担当の人がいた。その人は一言も言葉を発しないが、私を見て嘲笑にも似た表情を浮かべたので、サッと視線をそらして、純白にもほどがある真っ白な机をにらみつける。

たったこれだけのワンシーンの夢でしたが、私にとっては悪夢に等しい。4月が、4月が近づいてくる。この悪夢で思い出したのは、新人研修担当者が笑いながら漏らした言葉です。

「ここにいない人を笑う」という神経

それは入社式が終わり、本格的に新人研修が始まる頃だったように思います。私が就職した会社は、研修期間が3か月と比較的じっくりやる所だったのですが、始まる前に「万が一のこともあるから忠告しておくが、途中で投げ出さないように」と言われ。

過去、研修期間中にいつの間にか音信不通になったり、技術研修についていけなくなって会社に来なくなった輩がいるとやらを、面白おかしく、冗談でも言っているかのように笑いながら、話してきました。

勿論笑う所ではないので、真面目な顔をして話を聞いていましたが、内心「なんでこの人は他人の事をそんなに笑えるんだろうか」と思ってました。どういう神経しているんだろう。

私自身が、その時点で会社で働くということに違和感を持っていたからこそ、 そう感じるのかもしれませんが、自分の事を言われているように感じました。

今年の新人研修時のネタは、わたしかな

その人に眼の前で自分のことを言われているわけではないし、もう感知できないことを気にしても仕方のないことなのだと思います。けれど、新人研修を乗り越えたとしても来なくなる人はいるんだという意味で、新人に力説する時のネタにされるのは、きっとわたしでしょう。それはなんだか嫌だな。

実際、企業が新卒採用を経て何十人という新人を雇うことは、多大なお金がかかることです。辞める人が出る=事前投資をどぶに捨てることに等しいので、辞めてほしくないという気持ちでこういうことを話すという意図もわかります。

けれどだからといって、様々な理由や苦労の末、辞めざるをえなかった人や、私のように新しい環境に適応できずに自ら辞めることを 選んだ人を笑っていいことにはなりません。

その人の選択を笑うことは、誰にも出来ない

「まだ何も始まってないのに、辞めるなんて意味わかんなくねww」という感じで、軽いジョークのように笑いながら、辞めた人を例にあげないでほしいなぁと思います。

研修時におけるフォロー体勢が万全であるとか、気軽に相談できる先輩社員がいるとか、途中で会社を辞めないような工夫を全面に出して、アピールでもすればいいんじゃないでしょうか。いくらでも方法はあるでしょうに。

それに会社を辞めるという決断は、その人の人生にとって大きな決断だったはずです。辞めざるを得なかったにしろ、辞めることを自主的に選んだにせよ、自ら選択したことです。その人の選択を笑うことは、きっと誰にも出来ないことだと思います。

いつまでも気にしていても仕方がないことなので、いつか「就職したIT企業を4か月で辞めたけど、その時以上に人生楽しく謳歌してるよ、いいでしょ?」と言えるようになりたいですね!