空想島(6畳半)

空想をすることが、生きる糧となり地となり肉となり

心を動かすために、体を動かす

私が毎週楽しみにしている番組に、NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」があります。ジャンルとしては旅番組に入るのだと思いますが、家族をテーマにして、鶴瓶さんとゲストが旅人として田舎を訪れ、地元の人と触れ合うことがコンセプトのぶっつけ本番番組です。この番組を見ていてると、80歳を超えているようには見えない健康な御老人や、おしゃべり好きで笑顔が素敵な高齢者の方がよく登場します。鬱病のようになり、元気をなくしてしまった私の祖母と年齢的には変わらないはずですが、なぜでしょうか?

「何か」をしているか、していないか

1番の違いは、過去現役だった仕事を引退した後も「何か」をしているか、していないかが、大きいのではないかと考えています。いわゆる仕事一筋の人生を送ってきた祖母と祖父は、年金が貰えるため、毎日の生活には困っていません。しかし趣味らしい趣味が何もないため、特にすることがないそうです。社会との関わりを断ち、家の中という小さな世界の中で、1日1日の膨大な時間をただ淡々と消費している状態です。その状態を想像しただけでも、息がつまります。それに比べると「鶴瓶の家族に乾杯」で出てくる高齢者の方は、何らかの形で社会と繋がっている人が多いように思います。現役で仕事をしている人もいますし、友人との雑談というささやかな楽しみを持っている人もいました。

人によって、その「何か」には様々な種類があると思います。仕事だったり、趣味だったり、社会の中の役割だったりするでしょうし、社会にも会社であったり、家族であったり、学校であったり様々なものが考えられます。私たちは、その「何か」を通じて、他人や社会と関わりを持ちます。そしてその関わりの中で、人から元気を貰ったり、時には苦脳したり、自分自身の幸せや生きがいを感じたりすることができるのだと思います。祖母の現状がそうであるように、金銭的に困らないことが=幸せであるわけではありません。そう考えると、この「何か」をすることが、幸せに繋がっているのではないでしょうか?

「何もしない」をしたら雑草をむしりたくなった

通常、わたしたちは何かしらのことをしていることが多いと思います。社会人の方は会社に行くために電車に乗りますし、電車の中で本を読んだり、スマホのアプリをいじったり、眠ってしまったり、大体いつも何かをしています。無職でニートの私ですら、洗濯をしてたり、昼食や夕食作ったり、暇な時間にインターネットをして、ブログを書いたり、毎日の仕事をしています。

ふと「何もしない」を選んだら、どういう行動に出るだろうということが気になって、昼食後から夕食準備までの数時間を利用して、実際に実験してみました。具体的にしたことは、パソコンの電源を切り、テレビから離れ、漫画も本も読まず、ゲーム機を放り投げ、ただぼーっとソファに座ってみる、ただこれだけです。始めは眠たくなってしまうかと思っていたのですが、時間が経つにつれて、だんだんとソワソワしてきました。はたから見ると怪しい人ですが、無駄に部屋の中を歩き回りました。そして気がついたら、庭で雑草をむしっていました。

実験でわかったことは、”「何もしない」を選ぶと、なぜか人は「何か」がしたくなってくる”ということでした。 別にストレスを発散するために、雑草をむしり取りたくなったわけではありません。 庭に無尽蔵に生えている雑草取りは、「外が暑いから涼しくなったら」とか 「雨が降って蚊がたくさんいるから」とか理由をつけて放置してきましたが、 どちらかというとやった方がいいことの1つでした。暇つぶしにやっていることを封印して、「何もしない」を選ぶと、「やった方がいいこと」がちょこんと顔を出すことがわかりました。

本当に、何もしたくない時もある

体を悪くすると、気持ちも落ち込んで、何もしたくないと思うこともあります。私自身も仕事を辞めた直後は鬱々としていて、「何か」をする意欲がなくなっていました。そういう時は、無理やり自分を鼓舞することなく、ゆっくり体を休ませましょう。体からのSOSや警告信号を受け止めて、「休む」ことを選ぶのです。そうしていると、その内、自然に「何か」がしたくなってきたりするものです。

頭の中で考えを整理したり、自分自身と対話する時間も必要ですが、それと同じように、自ら行動して体感することも大切です。体を動かすことで、私たちは心で感じることができると思います。それが元気や笑顔であったり、生きているというエネルギーに繋がります。

長い先の見えない道を、全力疾走し続けることが出来る人はいないと思います。時には走ったり、スピードを落としてゆるやかにジョギングしたり、友人と談笑して休んだり、道の安全を確かめたりしながら、自分にとっての「何か」を見つけて行きたいですね。じっくり考えるための時間として8月をすべて使ってしまったので、9月は行動するターンにしたいです。