空想島(6畳半)

空想をすることが、生きる糧となり地となり肉となり

南会津ふるさとワークステイ【仕事編】

f:id:rntriple6:20130910000224j:plain

大自然に囲まれて、自分を見つめ直す4泊5日

福島県南会津のふるさとワークステイを無事終え、東京に戻ってきました。ステイ先は、東京から電車約5時間の所にある、山の中の小さな集落です。近くにはコンビニはおろかスーパーさえなく、山と農家と棚田と畑と川しかありません。通行人はほぼなし、畑やステイ先で出会う人は農業を営む高齢者ばかりでした。仕事は勿論のこと、気さくで明るい集落の人と過ごした5日間は、とても充実していて楽しかったです。「行ってよかった」の一言につきます。感じたこと、話したいこと、伝えたいことはたくさんあるのですが、今回は、具体的に行った作業内容と感じたことを紹介したいと思います。もし、参加してみたいという方がいれば、参考にしてくださると幸いです。

南会津ふるさとワークステイとは

ふるさとワークステイとは、農家さんに宿泊し、農作業の手伝いをするボランティアのことです。また実際に肌で感じながら農山村の暮らしをまるごと体験するという取り組みも含まれています。現地までの交通費は自己負担ですが、農作業の手伝いの対価として宿泊場所、食事を提供してくださるため、滞在費などは無料になります。募集期間は今年の11月30日までです。時期によって、作業内容は変わります。私の場合は野菜の収穫作業が主でしたが、これからの時期は稲刈りになると思います。
詳細はこちらからどうぞ↓
http://www.aizu-concierge.com/blog/article/10703/

実際にどんな作業をするの?

1.野菜の収穫作業

基本的には、畑での作業時間は朝8時から夕方5時までです。炎天下での作業の場合は、水分補給のために休憩を取ったり、作業の区切りで昼御飯を頂くので、実質的な作業時間は約6時間です。農作業用の帽子をかぶり、手にビニール手袋をはめ、日焼け防止のアームカバーをして、右手に収穫した野菜を入れるカゴ、左手に野菜用のはさみを持って、作業します。畑で収穫した野菜は、じゃがいも、トウモロコシ、キュウリ、オクラ、インゲン、赤ピーマン、ミニトマトなどです。

2.収穫した野菜の仕分け作業

当たり前ですが、収穫した野菜は、ダンボールに詰めて出荷します。出荷するためには、サイズ、形、色などを確認しながら、出荷できるものかそうでないかを仕分けする必要があります。例えばインゲンの場合は、ALランク、Aランク、Bランク、規格外ランクの4つがあります。一番大切なものは形です。まっすぐスラッと伸びている物が優良です。ALとAの違いは、インゲンの長さです。細すぎても、大き過ぎてもいけません。Bランクは規格外とまではいかないものを指します。市場に出荷することもありますし、地元の直売所に出したり、近所に分けたり、家で料理して食べたりします。

3.高齢者の話し相手になる仕事

農家の方は、たとえ夫婦で農作業をしていたとしても、仕事中に会話はなく、まるで機械のように仕事をこなすことが多いそうです。そこに都会からやってきた、農作業においては右も左もわからない初心者の私が入ることで、会話を楽しみながら仕事をしたり、都会と地元の人との交流を促したりする機会をかねているようです。近所の人は勿論のこと、高齢者の方と話しをすることは滅多にないので緊張しました。近所の人同士の会話は訛りが難しいので、時折何を話しているのかわからなくなったりしましたが、直売所の値段談義、畑仕事の話は面白かったです。

農作業を終えて

しゃがんだ状態の姿勢を保ちながら、じゃがいも掘りを5時間やって筋肉痛になりました。赤ピーマンの収穫作業は腰の位置にある色づいたピーマンを、立ったり、中腰になったり、しゃがんだりしながら探すので、それだけで腰が痛くなりました。炎天下で、半袖長ズボン、長靴姿で働くと、汗だくだくになります。

けれど、それを苦痛だと思ったことは1度もありません。毎日の御飯や収穫したばかりの野菜がとても美味しく感じられ、家族の一員として団欒を楽しみ、夜はぐっすり眠れました。初めての農作業で、わからないことだらけで、しかも肉体労働ですが、1日中、畑の中で野菜と戯れていることができそうだと感じました。それはきっと、農作業全体の内の、収穫作業のみを体験しているからだと思いますが。空を見上げれば、風に舞う赤トンボが見えます。都会では滅多に見ることのない大自然に囲まれていて、とても静かで仕事に集中できます。また集落の人柄なのでしょうが、都会の人をふんわりと受け入れてくれる温かさがあります。

私自身の変化

自分でいうのもなんですが、私は結構な人見知りです。初対面の人を目の前にすると、何を話したらいいのかわかりませんし、聞かれなければ自分のことは話しませんし、心を開くのに時間がかかる人間です。何でも話せる、信頼できる人というのは、いないかもしれません。会津のお父さん(お世話になった農家の方)は、出会って初日で、私が自分の殻を破ることが出来ていないように感じたそうです。引っ込み思案で、おとなしくて、初めて会った時は不安そうな顔をしていたので、初めての環境に適応できるか、とても心配だったそうです。けれど、5日間一緒に仕事をしたり、生活する中で、良い顔をするようになったと言います。

確かに自分でも、初日とは違う自分になったのではと思います。集落や畑で出会った人に笑顔で挨拶をしたり、自分から話しかけたりできるようになれたと思います。表情も柔らかくなり、明るくなったと聞きました。なんだかおじいちゃんおばあちゃんの家に居た頃の小さな私を取り戻したかのように思います。

いつの間にか、固く冷たくなってしまった心を、ゆるやかにホロリと溶かす。そんな魅力のある充実した5日間でした。また、行きたいと思っています。今はまだ何も具体的には考えていませんが、お世話になった集落のために、私なりに何かできることはないかとも考えています。私に出来る事の1つとして、体験した内容を誰かに伝えることだろうと思い、ブログを書いています。