空想島(6畳半)

空想をすることが、生きる糧となり地となり肉となり

学生気分 と 違和感

私は「学生気分が抜けていない」という言葉が嫌いです。

この言葉、新入社員を説教したり、研修等でよく使われる言葉ですよね。「学生気分が抜けていない」とは、何を意味するものなのでしょうか?

他の会社での研修の様子はわからないのですが、私がいた会社ではビジネスマナーなどを学ぶ前に、新人全員を1人1人指名し、学生と社会人の違いについて列挙させるようなグループワークがありました。例えば、以下のようなものが挙げられるのではないかと思います。

1.報酬
学生:サービスを受ける立場(授業料を払う)
社会人:サービスを提供する立場 (給料を貰う)

2.責任
学生:自己責任、学生だからある程度は許される
社会人:会社の一員としての責任がズシーン

3.評価
学生:テストの成績などの分かりやすい数字で出てくる
社会人:仕事の出来で異なる、わかりやすい数値では出てこない

4.時間
学生:時間だけはたくさんある、休もうと思えば休める
社会人:長期の休みは定年まで無理、もしくはお金で時間を買う

5.人間関係
学生:家族、大学、バイト先など年代の近い人との関わりが主、苦手な人を避けることも出来る
社会人:年代の異なる人、上司や苦手な人でも付き合っていかなければならない

6.飲み会と接待
学生:飲んで騒げる、無礼講であることが多い
社会人:本音は言えない、上司のご機嫌取り、気配り、ストレス

7.年金や保険料の支払い
学生:親の扶養・控除が受けられる
社会人:給料から天引きされる

8.うつ病になる可能性
学生:そこまで何かに必死でなければ、うつ病とか関係ない
社会人:ストレスを感じても逃げられない、我慢する、鬱になる可能性大

社会人は会社の一員であるという責任があり、お客様からの信用で仕事を貰い、お金を頂くので、 周りの人に常に見られているという意識を持って、毎日働く必要があります。ここが学生であることとの大きな違いなのではないかと思います。つまり、「学生気分が抜けていない」という言葉の裏側には、おそらくは「社会人としての自覚を持て」という言葉があるのだと思います。

しかし会社で働いていた期間が4か月しかない私がいうのもなんですが、学生気分うんぬんで説教を受けたのは、誰かが寝坊して遅刻してきた時や、遅刻や欠勤の連絡がない、挨拶が出来ていない等、どちらかというと人としての基本的なマナーの問題であり、学生であることはそれほど関係なかったように思います。中にはそういう学生もいるかもしれませんが、それを「学生気分」という言葉でひとくくりにするのはどうかと思います。

また学生気分を捨てて、就職した会社という世界にどっぷり浸かるということは、その会社のカラーというか、特色や性質に染まるということでもあります。「洗脳」とまでは言いませんが、自分と会社、自分と社会との関係を少し離れた所から客観的な視点で、見ることが難しくなるということだと思います。大学を卒業して就職した瞬間から、1日の半分以上は働いているという仕事人生が始まります。会社での仕事の成果がそのまま自分の評価になり、給料やボーナスにも繋がることからも、会社で働くこと=自分の生きる世界になってしまいかねません。

私は基本的に、会社や先輩方の有りがたいお言葉をうのみにせず、疑ってかかる方だったので、「社会人としての責任を否定するわけではないけれど、少し前まで学生だったのは事実だし。会社に入っていきなり学生生活を否定されても困る。貴方達だって過去は学生だったわけでしょ?」という感じで、話を聞き流していました。なぜならストレスをうまく回避の方法、お金がなくても楽しく過ごせる方法や時間の使い方、自分の人生は会社で働くことであるとイコールで結んでしまうことを避けられる等、学生気分には良い所もあるからです。

私は4か月社会人だっただけなので、大層な事は言えませんが、そういう意味では学生気分を忘れたり、捨てる必要はないかと思います。人としてのマナーは他人や集団の中で過ごすことで自然と養われていくものですし、「学生気分が抜けていない」という乱暴な言葉で片づける前に、周りがそれとなく注意して改善を促したり、方法は色々あると思います。わざわざ会社で教わるようなことではないような気もしますが、その人の成長に繋がることですし、面倒くさがらずにやればいいだけの話です。それに学生である頃の気持ちを忘れず、働くことができる社会人の方が面白そうだと私は思います。